丹後新聞部

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コラム
2020.06.27

丹後暮らし探求記 〜農家見習いの暮らし歳時記 vol.2〜 ニワトリのいる暮らし

◆はじめに「丹後の四季と暮らしをお届けします」

初めまして。今月から丹後暮らし探求記をお届けする、老籾(おいもみ)ちひろです。

私は京丹後市峰山町出身で、2018年にUターンして3年目。

いまは弥栄町にある有機農園で働きながら、

森と海に包まれた丹後の暮らしを謳歌しています。

京丹後出身の人、田舎への移住を考えている人、自然と繋がる生活を思い描く人へ。

暮らしのあり方を探るきっかけになりますように。

そんな願いを込めて、このまちの四季と共にある風景をお届けします。

◆我が家に、ニワトリがやってきた

この春、家族にニワトリが仲間入りしました。

勤め先である農園の梅本さんから、おばあちゃんニワトリを譲ってもらったからです。

動物がいると、暮らしの空気が柔らかくなりますねぇ。
眺めているだけで、自然と頬が緩む瞬間があるものです。

ニワトリを飼いはじめてから、田舎暮らしにも新しい風が吹き込みました。

今回は”ニワトリがきて、変わったこと”について書いてみたいと思います。

◆ニワトリがきて、変わったこと「早起き」

クエー!!!  と近所で飼われているクジャクが鳴き、
コッコッコー〜〜 と我が家の雌鶏が鳴き
ワンワン    と犬が応える・・・・

太陽が昇り始めた頃、うっすらと目が覚めます。
農家として朝が早い私には、有難い環境が整いました!

私が飼いたいと言い始めたニワトリですが、あっという間に飼育係りは夫の役割に。生き物好きな夫がせっせとお世話してくれるので、
言い出した本人は見守り係へ・・・(決して押し付けてはいないのです…)

ニワトリに餌をあげる人と、人間の朝ごはんを作る人。
役割があるから、早起きがすこーし得意になりました。

◆ニワトリがきて、変わったこと「ゴミ問題」

私は日頃、弥栄町にあるオーガニックファームで働いています。有機農業に向き合うようになって教わったことは、生物多様性の大切さでした。

循環のある自然界では、誰かにとってのウンチ(不要なもの)が、また違う生き物にとってはエサとなります。多様な生き物が生きるところには、ゴミ(と人間が思っているもの)が浄化される循環が保たれているのかもしれません。

野菜やお肉のくず、タマゴの殻などの生ゴミは、ニワトリのエサに。すると、栄養はタマゴとして、ニワトリが返してくれます。ニワトリが食べない生ゴミは、米ぬかコンポストへ。今まで無意識のうちに、家からでるゴミの量へ罪悪感を抱いていたようです。

お家からでるゴミが減ると、なんとなく心も軽やかになるものです。

◆ニワトリがきて、変わったこと「海とのつながり」

魚の骨、卵の殻や貝殻を砕いたもの。これらをニワトリにあげると、他のエサとは食いつきがまるで違います!本能的に、殻の強い卵を産むための材料を欲しているんでしょうか。

せっかく丹後半島に住んでいる私たち。以前よりもさらに、魚を食べる頻度が高まりました。浜辺へ行けば、貝殻集めをするようになりました。夫婦揃って、真剣な眼差しで、鳥のエサになる貝殻を集めます。

以前から夫婦で釣りに行ったり、浜辺で散歩することもありましたが、最近では”ニワトリが喜ぶから、貝殻集めに行こう”と、目的が一つ加わりました。

また浜辺へ出掛ける頻度も高まりそうです。

◾️食材も作り手も、選べる田舎。

40年ほど前までは、我が家も庭でニワトリを放し飼いしていたそうです。そこに、祖父の幼少期までは、さらに牛とヤギと蚕(かいこ)さんが一緒だったとか。自分とは違うペースで生きる仲間がいると、生活に有意義な遊びの時間ができますね〜

同時に、平飼いで鶏を育てることが、どんなに手間と設備を要することか。スーパーで並んでいる安売り卵は、どんな環境で手に入っているんだろう??と
新たにやってきた2羽のニワトリのお陰で、外で買い物をするときの価値観もまた一つ、更新されたこの頃です。

畑でも、手芸でも、養鶏でも、、、ちょっとだけ生産者になってみるのは、いいものですね。遊び場となる農地も、教えてくれる先生にも恵まれたこの町ならば、意外といつでも始められるものだと気付いた春でした。たのしい!