丹後新聞部

Column & Events

2022.02.23

【レポート】京都・丹後ならではの子育て&仕事について知る座談会

2月25日には、第二弾が予定されている「地域での子育て&仕事」をテーマにしたトークイベント。

今週末、第二弾の開催を前に、第一弾の様子についてお届けします。

◎開催概要
日時:2022年1月21日(金)19:00~20:30
会場:オンライン会議システムZoom上
参加費:無料
主催:京都府丹後広域振興局
共催:京の田舎ぐらし・ふるさとセンター
企画・運営:(一社)丹後暮らし探求舎

【1】How to 移住 「移住8年目の声」

最初のコーナーでは、移住相談員の小林朝子が担当。

8年前の移住経験を元に「京丹後へのHow to 移住」を紹介しました。

とくに注目と共感を集めた話題は、

丹後半島の降雪とどう付き合っていくのか?」といったお天気問題と、

田舎暮らしはお金が掛からないは、ほんと??」といったお金問題について。

近年は雪が降らない年があるほど、昭和の頃に比べると積雪量が減っているとは言え、

自家用車の選び方、積雪に備えた雪かきグッズの揃え方など、

「雪国暮らしのライフハック」を知ることは必須です。

青空と海が美しい「夏の京丹後」を満喫してもらうのは勿論のことですが、

移住を視野に入れるならば、曇天と雪が続く「冬の京丹後」を訪れて、

”この風土の町で暮らせるか”と考えることもおすすめしています。

「日本酒と脂がのった魚がとくに美味しいのは冬。

 ぜひ冬の京丹後も見てから、移住を検討してみてくださいね」との話題提供でした。

【2】ゲストトーク 徳本 知穂さん

トークゲストのお一人目は、結婚を機に京丹後へ移住された、徳本 知穂(ちいほ)さん。

京都市出身の徳本さんは、大学時代に小学生キャンプの引率として京丹後を来訪。

その際に現在のパートナーと出会い、2017年に結婚と共に京丹後市大宮町へ移住されました。

移住後は様々な職種で短期アルバイトを経験ののち、現在の職場へ就職。

2018年には出産、育休を経て職場復帰。

社会福祉法人に勤務する傍ら、子育てを両立する働き方、暮らし方を模索する近況や、

移住から現在に至る心境の変化を聞かせて下さいました。

移住を決断できたきっかけ「意外と同世代の人がいるなぁ」

ボランティア活動で京丹後を訪れた際、現在のパートナーと出会った徳本さん。

パートナーと結婚するなら京丹後へ移住することになるため、

「ほんとに自分が田舎暮らしできるかな〜」と不安があったと言います。

そんな不安を払拭するきっかけになったというのは、

京丹後で開催されたイベントへ参加してみた時のこと。

同世代の若い移住者やUターンしてきた人、

結婚を機に京丹後へ来たような近しい境遇の人にたくさん出会って

「意外と同世代の人がたくさん居るんだなぁ」

「これなら、移住してきても馴染めるかも」と安心感が生まれたと言います。

そして、結婚を機に2017年、移住へ至ります。

引っ越してきて直面した「ペーパードライバー問題」

京丹後へ引っ越してきてまず直面したのは、自身のペーパードライバー問題について。

通勤や買い物など、車で移動することが必須の田舎暮らしですが、

最初はペーパードライバーだったため、慣れない運転と車ありきの生活に戸惑ったそう。

運転に慣れた現在では、車社会だからこその利点にどっぷり。

「車のなかが自分の部屋のように落ち着ける。

 けれど、最初は車ありきの生活に慣れる課題があるかも」とのことでした。

仕事を通じて、自分のコミュニティを持てる楽しさ

知り合いがいない状態でスタートした徳本さんの丹後暮らし。

最初は夫の知り合いを中心に地域の方との関係性が広がっていったと同時に、

仕事を通じてできた「自分だけのコミュニティ」が育まれたことも、

暮らしの充実度を高めてくれていると言います。

結婚を機にパートナーの拠点へ移住すると「嫁」や「母」として認識される場面が多くなりますが、

仕事を持つことで「私という個性を持った一人」を認識してもらえるコミュニティも大切なもの。

気づいたら友達も増えて、一人の社会人として働けるからこそ子育て時間の尊さも実感できて、

楽しく暮らせていると振り返ります。

田舎での子育て、想像とリアル
「保育所問題」「雨の日問題」「支援所や医療機関」

京丹後へ移住してきて2年目で出産した徳本さん。

ここからは、丹後で子育てをする実体験のなかで気づいたテーマについての話題をご紹介します。

まずは、職場復帰にあたって直面した保育所問題について。

都市部に比べて人口が少ない田舎だから「待機児童なんて無いだろう」と思っていたところ、

予想外に保育所入園問題にぶつかって、

”周りの子育て世帯も同じ悩みを抱えている”と気づいたそうです。

「人口が少ない田舎だから保育所問題は大丈夫」というわけでもないというのが

リアルな現状だと言えます。

また、他にも子育てに関するお悩みで言えば、

海や田んぼ道など、自然に近い遊び場は豊かにある一方で、

「雨の日に子どもを遊ばせられる場所」に困っているといった体験談もあがりました。

また、大きな公園はあるけれど、1〜3歳の子どもが遊べるような小規模の公園が少なく、

大きな公園はコロナ禍で閉鎖される近況もあって

「小さな子どもの遊び場に困るのは、予想外のことだった」とのこと。

遊び場や保育所問題についてのお悩みがあがると同時に、

「子育て支援センターは週3回ほど通って、

相談相手や子どもの遊び場所になってもらえた」との体験談も。

医療機関については、大きな病院はある程度ある一方で、

専門的な医療機関の幅は限られているため、子どもの持病について

 ・月に1回、都市部から先生が出張されるタイミングを待つか

 ・京都市内の医療機関へ通うか

の2択になり、京都市内の病院への通院だけで一日仕事になったので苦労したと言います。

まとめ「田舎での子育てのしやすさ、しにくさって??」

ここまでの実体験を踏まえて

「車で移動できて、人が密集していない場所で広々と子どもを遊ばせられること」

「子どもを預けて、働きながら子育てできること」が今の暮らしの豊かさと感じる一方で、

「ユニクロやスタバへ行くにも車で1時間。欲しいものが何でもすぐ近くにある訳でもない」とも。

「一言に子育てしやすい環境」とは言えないけれど、

「都会暮らしと比較して、遊び場、時間の余白がある環境の魅力もある」と言うのが、

京丹後へ移住して、子育てと仕事の両立を模索する徳本さんからの話題提供でした。

【3】ゲストトーク 植田 友香理さん

宮津市出身、与謝野町在住の植田友香理さんからは、

地域での子育て体験や、子育てをきっかけに始めたコミュニティづくりの体験談の話題提供。

植田さんは、3人の子育て経験を生かし、また夫の家業である建築業と連携して、

木の温もりを感じられるショールーム兼コミュニティ拠点「スタジオき」を運営しています。

自身の活動から広がった繋がりを生かし、

子育て支援団体『NPO法人まるっと丹育』に所属し、

現在は2ヶ所の子育て支援センターの運営やファミリーサポート支援事業にも従事。

育児経験のなかで出会ったアドラー心理学を生き方の軸に据え、

「海の京都アドラー」の団体を立ち上げ、地域の困りごとや

自分たちでやりたいことを実現する活動もライフワークとして継続されています。

ママたちの声から生まれたコミュニティスペース「スタジオき」

「冬場は子育て支援センターが閉まっちゃうんだよね〜」と周りのママたちの困りごとを聞いて、

家業で開けていたギャラリースペースを週1回、子育てママ向けに開放することに。

すると、コミュニティスペースとしてたくさんの人が集まるようになったそうです。

「子どもを寝転ばせられたら嬉しい」との声を聞いて、土間だった場所に床板を貼ったり、

秘密基地にして遊べるようなロフトを作ったりと、集まる人の声を聞いて

ギャラリースペースも3〜4回掛けて徐々にリノベーションしていったそうです。

ママたちが”自分のため”に使える時間ができた

コミュニティスペースを開放することで、その場に集うママたちが親しくなって、

少しずつ勉強会などのイベントが生まれる流れができることで、

「ママたちが頭の中を整理したり、自己成長できる時間」が生まれる流れができました。

そんなコミュニティが生まれた延長線で自治体から子育て支援センターの委託を受けることに。

「自分の子育てのとき、こんな居場所(サポート)があったら嬉しかったな」と経験を元に

現在はNPO法人を立ち上げて、子育て支援の活動を継続されています。

そして、旧来であれば「ここに住所がある人は、この支援センターへ行ってくださいね」と

指定される決まりがあったそうですが、現在では3つの支援センターから

「その家族にあった支援センターへ行って良い」と選べるルールに変えることもできたそうです。

他にもアドラー心理学を生かした子育てについて学んだり、

森のなかで子どもを遊ばせる森のようちえんのような機会をつくったりと、

ご自身の子育て経験を生かして、地域の繋がりのなかで子育てを充実させる企画を継続されている活動の近況を紹介してもらいました。

【4】質問コーナー

ここからは、トークイベントの最後「質問コーナー」で交わされた会話をお届けします。

質問:「休日に子どもとどこで遊んでいますか?」

井上絵磨さん(司会):

うちは夫が農園で働いていて、その職場の方々も子育て中の家族が多いので、同僚ご家族も休日に子どもを連れて畑へ来て、畑が大規模保育所のようになっていて(笑)

畑で集いつつ、犬や鶏たち生き物と触れ合いながら同世代の移住者の友達と遊んでいます。

質問:「都市部のように沢山の進学校がある訳ではないと思うのですが、どのように教育環境を整えておられますか? 子どもを都市部の学校へ通わせた場合の教育費などについてもお聞きしたいです」

植田友香理さん(トークゲスト):

私の実体験で言えば「地元の公立高校で十分にしっかり教育してもらえる」という思い。

普通科目の授業だけでなく、自分で課題を見つけて探求するような授業もあったり、塾に入れなくても学力を育める環境があるので、膨大な塾代が掛かったりもしなかった。

私の場合は「勉強しなさい」と口うるさく言ってきた方でもないけれど、自然環境のなかで実体験を伴って学習したことで、自分で興味を持って学ぶような子どもの自主性が育まれたように思います。

子どもたちは公立中学校、公立高校へ通ったが、そこから十分に進路を選ぶことができた。あまり教育費を掛けてお膳立てしなくても、主体的に進路を選んでいったように思います。

坂田(丹後暮らし探求舎):

地域の身近な問題から学習を深められる機会は色々とあって、親御さんが地域に対するアンテナを広げていれば、子どもたちをさまざまなコミュニティへ導いてあげられる可能性も広がるでしょう。

徳本(トークゲスト):

丹後半島には大学がないので、大学や専門学校へ進学するタイミングでは子どもを家から送り出すことになるでしょう。そういった前提で子育てをしていく想定の家庭が大多数だと思います。

感想&第二回の開催概要


今回のイベントへオンライン参加した方からは、

「京丹後で生活・子育てしている方、支援センターを運営されている方のお話しを聞く事が出来てとても参考になりました。 私たち家族はもう移住してきましたが、新しい土地で子育てが思った以上に大変だなと実感しており、子育てしている方のお話は共感出来ることのオンパレードでした(笑) 与謝野町の支援センターも素敵なところで、行ってみたいです。 今はまだ知り合いもいなくて少し寂しいので、これからイベントが開催されたら是非参加してたくさん知り合いを作って、京丹後ライフを楽しみたいと思います♪ ありがとうございました。」等の感想をいただきました。

さらに本イベント第二弾は、2月25日(金)の開催です。

開催概要
日 時:2022年2月25日(金)19:00~20:30(開場18:55~)
会 場:オンライン会議ツール「ZOOM」
    ※申し込み後、開催日までにご登録メールアドレス宛にZoom会場のリンク先をお送りします。
定 員:なし
参加費:無料
申 込:こちらから
申込〆切:2022年2月24日(木)17時
主 催:京都府丹後広域振興局
共 催:京の田舎ぐらし・ふるさとセンター
企画・運営:(一社)丹後暮らし探求舎

ゲストの紹介など詳細は、こちらからご覧ください。

\\\こんな方にオススメ///

・京都・丹後への移住に興味がある
・田舎での子育てや仕事に興味がある
・移住した人のリアルな話を聞いてみたい
・地域の人とつながりを持ちたい

フォームから申し込みの上、ご参加ください。